用語解説

Explanation of Jikabuki words

衣装・化粧・鬘

■朝比奈隈(あさひなぐま)

 壽曽我対面の朝比奈の隈取。猿っぽくて笑えるメイク。

■前髪油付生締(まえがみあぶらつきなまじめ)

 壽曽我対面の曽我五郎などの、虫の触角のような髪型。

隈取(くまどり)

 歌舞伎独特のメイク。ヒーロー役には紅、悪役には藍を使う。

舞台機構、大道具

■揚幕(あげまく)

 鳥屋(とや)の前や舞台上手にある幕。鳥屋の前のものを「鳥屋揚幕」、

 舞台上手のものを「上手揚幕(かみてあげまく)」という。小屋の門が染め抜いたりしてある。

■書割(かきわり)

 大道具の一つ。舞台の背景画。大きな背景画はいくつかに割って書いてあることから、書き割りというらしい。

 ふすまや障子などは、表裏で別の模様を描き、リバーシブル仕様になっている。

■上手(かみて)

 舞台に向かって右手。

■切り穴(きりあな)

 舞台に開けてある四角い穴。セリ、スッポンなどのこと。普段は塞がれている。

■黒御簾(くろみす)

 舞台下手にある、簾(すだれ)の掛かった小部屋のこと。

 上手の義太夫と三味線以外の楽器がここで効果音などを担当する。

 

■下手(しもて)

 舞台に向かって左手。

■定式幕(じょうしきまく)

 いつも使う、お決まりの幕、の意味。歌舞伎といえば連想する柿(オレンジ色)、黒、萌葱(緑)の3色で、

 左右に引いて開け閉めする。地歌舞伎では、大歌舞伎とは逆に上手から下手に向かって幕を開ける。

■スッポン(すっぽん)

 花道にある、役者が登場する切り穴。花道を73に分けて舞台から3のあたりにあるため、七三(しちさん)とも。

 そこから役者が出てくる様が、スッポンが頭を出す時に似ているのでスッポンというらしい。

 何故カメでないのかは不明。新しい芝居小屋はエレベーターで花道へ上がれるが、古い小屋では自分で階段を

 上がって登場する。ここから登場するのはたいてい妖怪など人ではない役柄。

■セリ(せり)

 舞台上にある、人や道具を登場させるための切り穴。

■太夫台(たゆうだい)

 舞台上手、義太夫と三味線弾きが座っている台。回転式になっていることもある。

■鳥屋(とや)

 花道の突き当りの小部屋。そこから役者が出入りする。鳥は居ないが、鳥小屋のような狭さ。

■花道(はなみち)

 舞台から客席に突き出た廊下のような部分。下手のものを「本花道(ほんはなみち)」、

 上手のものを「仮花道(かりはなみち)」という。仮花道は芝居小屋に臨時で設置されることが多いが、

 常設されている場合もある。

■回り舞台(まわりぶたい)

 舞台が水平に回転し、場面転換などができる仕組み。現在は機械仕掛けが主だが、古い芝居小屋では人力で回す。

裏方

■衣装建て(いしょうだて)

 衣装を選ぶ作業。

■顔師(かおし)

 役者の顔を塗る人。メイクさん。

■黒子(くろこ)

 黒い衣装を着て舞台上の役者のサポートをする人。

 道具を出したり片づけたり、せりふの飛んだ役者にこっそり教えたりする。振付師が担当することが多い。

■床山(とこやま)

 鬘(かつら)を扱う人。

■振付師(ふりつけし)

 振付を教えるだけでなく、衣装建て(いしょうだて)や鬘(かつら)選びに関わることもあれば、大道具の仕上がりを

 確認したり、当日には役者が順調に芝居ができるよう、ツケや柝(き)を打つ、舞台上で役者の衣装を整え、セリフを

 忘れた役者にこそっとセリフを教えたりと、コマネズミのごとく動き回る、地歌舞伎界の何でも屋兼総合プロデューサー。

 またの名を師匠。

 

音響

柝(き)

 拍子をとるために打ち鳴らす木製の道具。 拍子木(ひょうしぎ)とも呼ばれ、擬音語で「チョン」、「チョーン」と表される。

■義太夫(ぎだゆう)

 役者の台詞以外の部分を担う語り手。太夫さん。竹本とも。バンドのボーカル役。文楽の語り手は「大夫」と綴り、

 それに点が加わるのでチョボと言われることもあるが、あまり使わない。

■三味線(しゃみせん)

 義太夫の隣で三味線を演奏する人。バンドのギターにあたる。

 使われる三味線は強い音の出る「太棹(ふとざお)」が主。

■竹本(たけもと)

 =義太夫(ぎだゆう)参照

■ツケ(つけ)

 効果音を出す木製の道具。床に置いた板を両手に持った2本の柝(き)で叩く。

 舞台上手でツケを打つ人のことを「ツケ打ち」という。足音、動作の音などを表現している。

演出、役柄

■女形(おんながた)

 おんながた、おやま。女役のこと。

■クドキ(くどき)

 主人公の心情を浄瑠璃に合わせて長い台詞でくどくどと表現するところ。

■ぶっ返り(ぶっかえり)

 両肩で留めた衣装を前後にひっくり返して、衣装が変わったように思わせる見せ方。本性を現す場面を示す。

 百姓に見せかけていたが、実は武士、とか。

■振り落とし(ふりおとし)

 舞台天井から吊るした布・幕を一瞬で落とし、場面転換などをする。幕の落ちた後は別の場所、という設定が多い。

■振り被せ(ふりかぶせ)

 舞台上部にまとめていた幕を一瞬で下ろし、幕から後ろを隠すこと。

■見得(みえ)

 役者が一瞬動きを止めて見せる、ここぞという場面の決めポーズ。切るもの。

その他

■大向う(おおむこう)

 大向うとは、舞台から見た「向う」側で舞台からもっとも遠い位置にある観客席の総称のこと。

 他よりも安い席で、何度も芝居通いをする芝居通がそこに座って役者に声を掛けたりした。

 それが転じて、役者に声を掛ける人や、掛ける声のことも大向うというようになった。

■歌舞伎(かぶき)

 「傾く(かぶく)」を名詞化した言葉が「かぶき」。本来は「頭を傾ける」ことで、そこから「常識はずれ」「異様な風体」を

 表すようになった。転じて風体や行動が華美であることや、色めいた振舞などを指すようになった。

 17世紀初頭に出雲阿国(いずものおくに)が始めた踊りが、女性が男役をやるという「傾いた」ものであったため、

 その踊りが「かぶき踊り」と呼ばれるようになったという。「歌舞伎」は当て字だが、歌と舞と伎(=技、芸、役者)とは

 また上手いこと当てたものである。

■かべす

 菓子・弁当・寿司の頭文字。歌舞伎見物には外せないアイテム。

■口上(こうじょう)

 出演者などが舞台上でするあいさつの言葉。 

■桟敷(さじき)

 客席の左右と二階正面に作られた板敷きの上席。

■姑去り(しゅうとめざり)

 姑が気に食わない嫁を追い出すために、嫁に突きつける書状。姑の一存で離縁させる場合に使われる。

■三行半(みくだりはん)

 男性が女性に離縁するときに渡す書状。再婚許可証。