

【時代物】魂だけは共に…悲しき四十六人目の赤穂浪士
勘平の軍資金のために、こっそり身売りすることになったお軽を連れに、祇園からの使いが来ていた。そこへ狩りに出かけていた勘平が帰ってくる。
お軽と姑と話をするうちに、昨夜猪と間違えて撃ち殺し、金を奪った男がお軽の父・与市兵衛であったのではないかと思い至る。奪った財布や運び込まれた舅の遺体を前に、姑や折悪くやってきた由良之助の部下に責められ、言い訳できない勘平はついに切腹してしまう。
死に際に昨夜の出来事を説明していると、全てが誤解であったことが判明する。勘平が撃ち殺したのは、塩冶の浪人で山賊に落ちぶれている斧定九郎(おの さだくろう)で、与市兵衛の死骸の傷は鉄砲傷ではなく、定九郎によって負わされた刀傷だった。
偶然ではあるが舅の敵を討っていた勘平は、仇討ちの連判に加わることを許されて死ぬ。
主な登場人物

早野勘平重氏(はやの かんぺい しげうじ)
元塩冶家臣。仇討ちに加えてほしい。

お軽(おかる)
勘平の妻。

おかや
お軽の母。
●原郷右衛門(はら ごうえもん)
元塩冶家臣。不破数右衛門(ふわ かずえもん)の時もある。
●千崎弥五郎(せんざき やごろう)
元塩冶家臣。
●一文字屋お才(いちもんいや おさい)
祇園・一文字屋の女将。
●判人源六(ぜげんの げんろく)
女衒(ぜげん)。
●猟師めっぽう弥八(やはち)
●種子島の六(たねがしまの ろく)
●狸の角兵衛(たぬきの かくべい)
駕籠屋(かごや)
解説
『仮名手本忠臣蔵』は赤穂事件を元にした義太夫狂言。
南北朝時代という設定で吉良上野介(きら こうずけのすけ)を高師直(こうの もろのう)、浅野内匠頭(あさの たくみのかみ)を塩冶判官、大石内蔵助を大星由良之助と名を変えて上演された。