【時代物】婚約者と親の板挟みに苦しむお姫様

三浦之助は戦場で討死の覚悟をしていたが、重病の母に一目会いたいと故郷へ帰ってきた。しかし母に、戦の最中に抜け出たことを厳しく叱られ引き返そうとする。

父・時政を捨て三浦之助を慕って来ていた時姫は折角会えた三浦之助を留めようと、説得し、三浦之助も一夜を明かすことにする。

深夜、使いにやった藤三郎を監視する富田六郎とおくるが様子を見にやってくる。そこへ藤三郎が現れ時姫に父のもとへ帰るよう迫るが、時姫は藤三郎を追い返し、結婚を認めぬ父親と、敵の娘と疑いを抱く三浦之助の心底を儚んで自害しようとする。それを見た三浦之助は疑いを晴らし、時姫が父時政を殺すことを条件に夫婦の約束をすると言う。

時姫がその条件を呑むのを聞いた富田六郎は注進せんと抜け道となっている井戸に向かうが、中から現れた藤三郎に殺される。実は藤三郎は高綱であり、正体を隠し時政に捕まって、時政の命を狙っていた。

 

折よく使者に命じられ、三浦之助と通じて時姫の本心を聞き出し父時政を打たせる決心をさせる計画だった。やがて夜明けが近づき、覚悟を決めた三浦之助は、時姫の父を打つ決心に望みを託し戦場に向かう。

主な登場人物

三浦之助義村(みうらのすけよしむら)
木村重成がモデル。二枚目、いい男。勝手なことを言う女の敵。ちょっとマザコン。

時姫(ときひめ)

 

執権北条時政の娘。三浦之助の許嫁。千姫がモデル。いい所のお嬢様だが、一途過ぎる

 

長門(ながと)
三浦之助の母。賢母。教育ママ。

藤三郎(とうざぶろう)

北条時政の使者。実は佐々木高綱(ささきたかつな)。真田幸村がモデル。ぶっかえりで衣裳の文様が六文銭をイメージさせ、真田幸村がモデルだということを匂わせている。軍師、戦略家。目的の為ならどんな手でも使う!

おくる

藤三郎の女房。

富田六郎(とんだのろくろう)

北条方の隠密。籐三郎の様子を伺っている。登場してすぐに殺されてしまう

解説

大坂夏の陣の悲劇を鎌倉時代に置き換えて脚色したもので、北条時政は徳川家康、佐々木高綱は真田幸村、三浦之助義村は木村重成、時姫は千姫を表している。全十段あるうち、今日上演されるのは七段目の「絹川村閑居の場」のみである。

父と恋人との板挟みになる時姫の苦悩が中心テーマである。時姫は八重垣姫、雪姫とともに三姫といわれる大役で、愛らしさと気品と強さが要求される。

 

ちなみに、大坂冬の陣を題材にした物語には『近江源氏先陣館 盛綱陣屋の場(おうみげんじんやかた もりつなじんやのば)』がある。